プロビブリオ(オランダ・ホーフドルフ市)

今回は、オランダのプロビブリオという会社を紹介します。

プロビブリオは、ホーフドルフに立地する図書館運営支援会社です。職員数は、240人(フルタイム:163人、パートタイム:77人)。以前は、州立図書館センターでしたが、現在は、補助金と収益が約50%ずつを占める、半民間の会社となっています。
ここで、プロビブリオの歴史的経緯をお話しますと、プロビブリオは、元来、人口30,000万人以下の小さな町の図書館を支援する州立図書館として設置されました。サービスの提供範囲は、州立という名前からも分かるように、管轄する州に存在する図書館が対象となります。プロビブリオは、北ホラント州と南ホラント州をサービス対象地域としており、その他に州にも、プロビブリオと同様の州立図書館が存在するとのことです。設立当初は、費用の全てが補助金で賄われていましたが、2000年以降、図書館ネットワークの再編に伴い、半民間ベースの機関へと移り変わりました。

主なサービスは、地域の公共図書館への蔵書の配送や図書館システム等のデジタルサービスが挙げられます(デジタルサービスは、国レベルの対応に移行中とのこと)。また、地域図書館の職員のスキル向上なども主要サービスの1つと言えます。

また、近年は、ユニークなサービスにも積極に取り組んでいます。例えば、現在は、次のようなサービスを展開しています。
①ビーチライブラリー
7月から8月にかけ、オランダの海岸沿いに、13個の簡易図書館を設置。図書館の本は、手続き無しに本を借りることができ、2ヶ月間で約20,000冊の貸出があったとのことでした。なお、盗難対策等はしていませんでしたが、図書の紛失は、ほとんど起きなかったとのことでした。
②駅内図書館
現在、ハーレム駅の構内に図書館を設置することを予定しています。ハーレム駅は、外観が美しいと評判の駅であり、約150,000の市民が生活しています。ターゲットは、本に興味があるものの、図書館に訪れる時間のない人々。施設の広さは、150㎡程度を想定しており、利用者は、施設内でコーヒを飲みながら、本を閲覧できます。この図書館は、2010年5月に開館予定とのことでした。

お話をした担当者の方は、これからの図書館は、マーケティングが重要になるとおっしゃっていました。先ほど紹介した2つの事例も、消費者ニーズに基づいてターゲットを設定しています。日本においても、公共図書館の水準が総体的に高まり、サービスが画一化していく中で、他の図書館とどのように差別化を図るかが重要となってきます。こうした状況下においては、緻密なマーケティングに基づく、ユニークなサービスの提供というものが、1つの差別化要因として期待されるのではないでしょうか。