海外視察報告その1(デルフト工科大図書館)

わが国の「開かれた私立図書館像」を探ることを目的に、海外で特色あるサービスを提供したり、ユニークな運営を行っている図書館(公立、私立を問わず)のヒアリング調査を行いました。まず第一弾として、デルフト工科大図書館(オランダ)を紹介したいと思います。

デルフト工科大は人口約10万人のデルフト市の中心部に立地しています。図書館について、まず、驚かされるのは特徴的な外観です。屋根が芝生で覆いつくされ地表面からスロープ上に連なっているのです。晴れた日には学生が本を読んだり、くつろぎの時間を過ごせるようです(蛙が跳ねる姿も見られるとか!)。
外観だけでなく、運営面でも特色を出そうとしています。工科系の図書館というと地域住民との接点は少なそうなイメージですが、モットーとして「Centre of belonging」を掲げており、子どもからお年寄りまで誰もが立ち寄れるような環境やメニューづくりに取り組んでいるそうです(地元公共図書館との協力によるゲームに関するシンポジウムやゲームナイトの開催など)。
また、民間事業者を対象とした有料のサービスとしては、特許関連の文献検索なども行っています。以前は有料のドキュメント提供なども行っていましたが、著作権上の課題をクリアできず、中止したそうです。
国立の施設ということで収益事業への取り組みには限界がありますが、大学の枠を越えた人材育成や大学の知的資源等を活かした外部との連携を模索する姿がよくわかりました。