ロンドン図書館(ロンドン市)

今回は、蔵書約100万冊を誇り、世界最大の私立図書館の1つと言われているロンドン図書館を紹介します。ディケンズコナン・ドイルダーウィンバーナード・ショーチャーチルなど、そうそうたる人物が会員として名を連ねた由緒正しき図書館です。会員制を採用していますが、非会員の方も利用料(1日10ポンド)を支払えば入館できるそうです。

図書館の設立は1841年で、1845年から現在地で活動をしているそうです。図書館内部はロンドン中心部のピカデリーサーカスから徒歩数分の場所にあるとは思えないほど、静寂と荘厳な雰囲気に包まれています。歴史の重みを体感できるこの雰囲気を味わうことを目的に会員になる人たちも多数いるとのことでした。

もちろん、蔵書も人文系を中心に充実しています。古くは16世紀の書物を収蔵しており、また、ほとんどの蔵書が貸し出し可能ということでした。政府系の機関も、ロンドン図書館を資料施設代わりに利用するために会員となっているそうです。私立図書館が様々な知的活動に貢献していることを実感できました。
もちろん、課題がないわけではありません。会員の高齢化と減少が続き、近年は会費を値上げせざるを得なかったということでした(現在の個人年会費は395ポンドですので、おおよそ5万5,000円ぐらいです)。一方で、若年層に会員になってもらおうと、若者向けの会費システムを導入するなど、経営体としての努力も行っています。
様々な苦労を経験しながらも、偉人たちが思いを巡らせたこのスペースが、新たな知的活動の創造の場として現在も活用されていること、そして、それが会員一人ひとりの協力により実現されているところに、私立図書館の原点を見たような気がしました。